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BLCDの赤い彗星たち

 BLCDはここ3年ほどの間に、各制作会社の努力もあり、これまでにない新しいジャンルが次々に登場してきました。今まさに、その過渡期を迎えているのです。長い間、BLCDは小説や漫画などの原作をもとに作られてきました。今回の記事では、従来のセオリーを赤い彗星のごとくぶっ壊しにきたシャアなやつらを紹介していきたいと思いまっす!


 BLCD三大クレームを一挙に解決させたWINWINしかない大ヒットシリーズ
 男子高校生、はじめてのシリーズ
 GINGER BERRY制作

 BLCDの三大クレーム、それは…

 

 ①BGMがダサい
 ②原作の重要なシーンがカット
 ③濡れ場のフェードアウト

 

 原作をもとにしたBLCDで圧倒的に多い不満が、上記の3つです。どれも萎えますけど、ウシヤマダからしたら濡れ場のフェードアウトなんかされた日にゃぁ、室伏広治ばりにちゃぶ台ぶん投げますよね。いや〜だってそれはもうメインディッシュを美味しくいただいてる最中に皿さげられるようなもんですよ。

 

 「私がまだ食ってる途中でしょうがぁ!」

 

 言いたかっただけです。
 改めまして、そんな厳しい井筒監督(BLCDファンの通称)の不満を一挙に払拭したのが、ノーカット・ノーフェード・ノー BGMを謳い文句にしている完全オリジナルストーリーのBLCD、「男子高校生、はじめての」シリーズです。これはもう正真正銘の大ヒットといっていいでしょう。その証拠にBLCDには珍しく、イベントやグッズ展開、コミカライズもされています。

 

 BLCDにおいて、大ヒットと呼ばれる作品が出てくることは非常に稀です。原作に相当のファンがいるか、そこに人気声優との相乗効果があってヒットする、という場合がありますが、そもそも原作のヒットを生むこと自体が難しいので、原作をもとにしているBLCDはもっとヒットを生みにくいのです。BLCDで記憶に新しい大ヒットといえば、「抱かれたい男1位に脅されています」ですよね。オリコンデイリー1位を獲得したモンスター作品です。予約殺到で発売日が延期になるほどの殺到ぶり。一方、この男子高校生、はじめてのシリーズは、オリコンにランクインするほど爆発的なヒットとはいえませんが、これまでになかった完全オリジナルストリーによるBLCDの文化を確立させる、という大きな功績をもたらしたヒットでした。シリーズのヒットを受けて各社がオリジナルストーリーのBLCDを次々に発売し、その文化が定着しました。

 

 このシリーズの素晴らしいところは、ただ単にオリジナルストーリーにしただけでなく、前述の三大クレームを意図して解消しようという演出方法です。まず、完全オリジナルストーリーにすることで原作もののBLCDで必ず起こる、作品やキャラクターのイメージに合わないという不満を解消。さらにノーカット・ノーフェード・ノー BGMにすることで三大クレームを解消。この演出を取り入れたことで声優さんの演技と環境音以外の情報が削られ、ぐっと臨場感が増したのです。まさに壁。私たち壁になりたい協会の人間は、従来のBLCDにも増して壁感を味わえるでしょう。オリジナルストーリーなので、先入観なく楽しむことができ、うまくすればオリジナルキャラクターにもファンが付いてくる。どこまでもWINWINしかないコンセプト。ありそうでなかった画期的な演出方法です。


 攻めはお前だ!新感覚シチュエーションCD
 黒薔薇の館シリーズ
 花梨シャノアールオメガ制作

 

 このシリーズの最大の特徴は、なんといっても他でもない「あなた」が攻めになれるところ!シチュエーションCDといえば乙女系が主流ですが、乙女系では「あなた」は受けです。しかしこのCDは違います。攻めは「あなた」。そうさお前さ!BLゲームなどでは既に自分が攻めになれるものが存在しますが、BLCDではお目にかかったことがありませんでした。ホームページには、業界初と打ってありますね。こちらも完全オリジナルストーリーで、受けの子は黒薔薇の館という娼館で働いている設定です。シリーズのなかで受けの子は「あなた」の生徒だったり、上司だったり、相棒だったりします。自分が攻めになることなど微塵も想像できないそこのあなた!ちょっと待ってください?このCDでは随所にダミーヘッドマイク(以下、ダミヘ)が使われているんです。シリーズ1で、あなたは学校の先生という設定なのですが、ダミヘで、

 先生…

 って言われてみてごらんよ?どうなると思う?興奮すんだよ!!!劇中に何十回と「先生」と呼ばれるのですが、大げさでなく、耳に息がかかるんです。これ本当に。「先生…」の吐息が耳にかかります。これ本当の話です。先生だけじゃありませんよ。濡れ場のあんなセリフやこんなセリフを、まるで耳元で囁いているかのような。まるで、という表現では済まないような臨場感。このダミヘの効果が、攻めるあなたをより効果的に演出します。

 

 いつもいつの日も壁だったあなた。壁から出て、少しだけ冒険してみませんか。かわいいあの子を誰でもないあなたの手で、ぐっちゃぐちゃのどっろどろにできることを想像してみてください。どうだいみんな。心のジョニーが騒がないか?


 萌え度外視、怒涛の濡れ場70分、ハードエロ200%の問題作 ※1
 アイドルハラスメントシリーズ
 niche制作

 

 この作品も完全オリジナルストーリーですが、これまでのBLCDとは毛色どころか世界線が違うといっていいでしょう。もはやBLCDと呼んでいいのかすら分からない。まずは物語の設定から説明しよう。この作品の設定はアイドルの枕営業。アスタリスクという駆け出しの5人組アイドルグループが、売れるために枕営業するという物語です。BLのセオリーからすると、枕営業からの両思い展開?なんて期待をもってしまいそうですが、見事に叩き落とされます。そこに愛なんてものは存在しない。ただひたすらにモブというの名の知らない男たちとセックスしまくるだけ。設定だけ聞くと、闇が深そうな暗い雰囲気なのかと構えてしまいますが、実は聞いてみるとそうでもありません。枕営業のわりにはライトです。なぜライトに聞けるかというと、最終的に全員もれなく調教されて「カ・イ・カ・ン」になるからです。

 

 しかしこの作品が問題作といわれる理由は、恋愛に発展しないアイドルの枕営業という設定だけではないのです。問題はそのプレイ内容、そして底のないモブの気持ち悪さ。これに尽きます。全て紹介すると、規制がかかるレベルのプレイ内容ですので、一部抜粋します。

 

 シリーズ1の犬山くん回:ペンライトをアヌスにインサート
 シリーズ3の兎丸くん回:小スカ(モブが飲む方)
 シリーズ5の龍巳くん回:首輪ならぬ乳首輪(読み:ちくわ)に四つん這い散歩

 

 文字で並んでいるのを読んだだけで胃もたれしそうですが、これは前述のとおり一部抜粋なので、ここには並べられない濃度120%のプレイの数々が、本編では繰り広げられています。また、無視できないのが劇中に登場する数々のモブたち。なにこの人たちモブプロ?と言いたくなるほど、ウッヒッヒッヒ〜みたいなイカれたモブおじさんたちが登場するのです。若干、受けの声聞こえねぇからお前一回黙れ、と言いたくなるレベルのウザさと声量。モブおじさんとしては、正しい判断です。

 というわけで本作は、愛もクソもないアイドルの枕営業という設定に加え、そのハードなプレイ内容が物議を呼んだわけです。聞く人を選びますが、普段から男性向けエロも美味しく頂いている方や、受けをとことんいじめぬきたい嗜好をお持ちの腐民の皆様方には、比較的に抵抗なく受け入れてもらえるのではないでしょうか。


 今回は分かりやすく、これまでのBLCD業界にはなかった特徴のある新しいジャンルを紹介しました。他にも、歌とBLがをコラボレーションさせた「BLソング&ドラマCD」や、R18推奨の「ESCAPE BELLシリーズ」など、新しいジャンルが次々に参入しています。BLCDではないのですが、個人的にBLにも転用できるのではないかと考えたのが「ダミヘになれるVR」。読んで字のごとく自分がダミヘになったようなVR体験ができるというもの。現在発売されているものは、ほのかなBLを醸しつつも乙女系要素の強い設定のようなので、今後はガッツリBL業界も踏み込んでいきたい領域です。

 

 ちなみに、DLsiteなどで販売されている同人BLCDでは、アイドルハラスメントがかわいく思えるほど皆さん好き放題やってます。タイトルだけとっても、声に出せないような強烈なものばかりが揃っています。同人BLCDの世界を覗いていて、アイドルハラスメントやESCAPE BELLシリーズに共通するその過激さやエロ重視の設定を考えると、これらは同人BLCDジャンルが進出してきた結果なのではないかと思えてきました。ウシヤマダはまだこちらの領域には手を出したことがないので、近いうちに体験したいと思います。そして数を打ったら特集組みます。乞うご期待。

 

 今回紹介したBLCDは全てオリジナルストーリー。未だ主力は原作のある作品ですが、オリジナルストーリーのBLCDはもはやBLCD業界に定着したといっていいほど、そのジャンルを確立しています。原作ものもオリジナルも、今後どのように発展していくのか、執拗に後を付け回していきたいと思います。


次回、CHILL CHILL BOX 4th presents「カフェオレは君の甘い香り」昼の部 参戦レポです。

 

※1:濡れ場70分はアイドルハラスメントシリーズ1の無料配布CDを含めた概算です