時代はIT。IOT、フィンテック、AIコンビニ、テクノロジーなしでは語れない時代。私たち腐民にとっては、電子書籍が身近なIT化の小波なのではないでしょうか。電子コミックスの売り上げが、紙のコミックスを上回るなんてニュースもありました※1
。それでは、BLCDはどうでしょうか。BLCDにもIT化の波はすでに到来しています。国内最大手と呼び名の高いドラマCD配信サイトの「ポケットドラマCD」。いろいろ調べていたらなんとこのサイト、時代の先取りもいいところで、サービス開始は2007年10月1日なのです。Twitterの日本語版サービスが2008年開始ですから、BLCD業界からしたらぶっ飛びすぎな気がしないでもないような感じがするようなしないような。サービス開始から12年目を迎えるポケットドラマCD(以下ポケドラ)の今について書きたいと思います。
ポケットドラマCDとは?
国内最大級のドラマCD配信サイト。ドラマCDとシチュエーションCDを中心に、最近ではガガガ文庫のオーディオブック配信もはじめたようです。ジャンルは大きくBL系、乙女系、オーディオブックに分けることができ、作品数は1000本以上※2。配信というと、音楽であればiTunesが有名ですが、ポケットドラマCDは独自の路線をいっています。まず、購入がポイント制。1ポイント1円相当で、購入できるポイント数は100ポイントから20000ポイントまであります。ポイントは一定の段階ごと分かれており、あらかじめ設定されたポイントのみ購入することかできます。
そこで、ポケドラの名前は知っているけれど足踏みしている方や、ポケドラなんて聞いたことねぇぞという方まで参考になるように、ポケドラのメリットとデメリットを書いていきます。
メリット
その1.購入して即聴取ができる
その2.単品購入ができる
その3.保管場所をとらない
その4.スマートフォンで完結できる
その5.デバイスを選んで聞くことができない
その6.早(遅)送りができない
その7.ポイント制が使いづらい
デメリット
その1.CDと価格が変わらない
その2.作品の検索や購入がアプリ内で完結できない
その3.専用アプリを起動しないと聞くことができない
その4.配信対象外の作品がある
その5.高音質で聞くことができない
その6.早(遅)送りができない
その7.ポイント制が使いづらい
どういう場合にポケドラを使うか
配信という手軽さ、単品購入などは評価できます。そのため、初心者には導入の手段として使いやすいと思います。なにを買えばいいか分からない、いきなり3000円超えのCDを買って失敗したくないという方は、試しに1話だけ買ってみるというのは一つの手です。
また、CD化されておらず、ポケドラの配信でしか購入できない作品があります。限定配信の作品目当ての人は、強い購入動機になるでしょう。
今後の課題は?
このCD売上大不況時代に、BLCDの配信化は必須のミッションです。ユーザーに寄り添って、使いやすさを追求していかなければ、衰退の一途をたどることになるでしょう。冒頭で時代はITだと書きましたが、今はYouTubeを使えば無料で面白い動画が観れますし、Amazonプライムであれば月408円、Netflixでも月980円支払えば映画やドラマが見放題です。そういった今最先端のコンテンツに比べると、やはりポケドラは課題が山ほどあります。
ポケドラに求めること
その1.CD価格との差別化
まず、CDと価格が変わらないというのは致命的。配信の意味がありません。価格に差がなければユーザーはCDを買います。CDであればデバイスを選ぶことができ、より音質の高い環境で聞くことができるからです。ユーザーが手にとりやすいようにするには、CDよりも抑えた価格で販売する必要があります。
その2.ポイント制の廃止
あらかじめ設定されたポイントしか購入できないというのは自由度が低く、ユーザーにとっては使いづらいです。事前にポイントを購入させる手間と、ポイント管理をユーザーに課すのは不親切です。単純に購入価格を決済するシンプルな方法をとれば、よりユーザーのハードルが下がります。
その3.ダウンロード制の導入
専用アプリでしか聞けないため、デバイスがスマホに限定されるのは不便です。特にドラマCDはオーディオデータのため、音質は非常に重要な要素であり、デバイスによって音のパフォーマンスが大きく変わります。オーディオ再生に特化していないスマホの音質は、あくまで最低限の範囲です。音にこだわるユーザーのためにもダウンロード制を導入し、ユーザーが好きなデバイスで聞けるようにするべきでしょう。
その4.作品数の拡大
これはコンテンツを継続する以上、常に課題となる問題です。現状では配信されていないBLCDの方が圧倒的に多く、利用機会を生むことができていません。とにかく配信数を増やして、配信型ドラマCDを定着させる必要があるでしょう。
その他のBLCD配信サイト
ハピドラ
ハピドラの特徴はBLCDの他に、BLシチュエーションCDがあることです。過去の記事で書いた。黒薔薇の館シリーズと同じように、俺がお前が攻めになれるやつ!
アニメロミックス
アニメロミックスって着メロの時代の産物ですよね?そんなアニメロミックスでもBLCDの配信してました。昔の作品が気持ち程度ですが、配信されているようです。ポチポチしましたが、どうやって買うか謎…
pc.animelo.jp
DLsite
DLsiteといえば同人BLCD。商業BLCDは添え物程度で、同人BLCDメインと考えていいです。同人という特色からか、アイドルハラスメントのように過激なものが多い印象。ドがつくエロが聞きたい人向けです。
配信型BLCDという選択肢が増えたことは、ユーザーにとって朗報です。しかしながら正直な印象を申し上げると、12年目のわりには作品数の少なさや、アプリの質、複雑なポイント購入制など、ポジティブな評価よりも課題の方が目立ちました。どうしても時代遅れ感が否めません。今は質のいいコンテンツが低価格で手に入るネットコンテンツが支持されつつある時代ですから、BLCDが今後も生き残っていくためには、そういった時代に合わせたサービスを提供していくことが求められます。
特に筆者は、自分で選んだオーディオプレーヤーとイヤホンで聞きたい派です。オーディオに特化していないスマホで聞くというのは、かなり邪道なのです。おいおい今どきなんでもスマホ1台でできるのに、オーディオプレーヤーかよ~なんて声が聞こえてきそうですが、考えてみてください?BLCDに出演しない声優さん(通称キレイ売り)や卒業していく方が多いなか、出演くださるだけでもありがき幸せ。そんな声優さんが身を削って演じた声の1つたりとも、聞き逃したくないではありませんか。音質の高い環境で聞くと、聞こえなかった音が聞こえるようになります。これは本当の話です。デバイスによって、格段に音質が違うのです。スマホからDAP(デジタルオーディオプレーヤーの略称)に変えただけで、全く異なる音の世界を味わうことができます。試しに家電量販店にて視聴してみてください。BLCDを高音質で聞くことの重要性を感じていただけると思います。
どこのサイトも商業BLCDの多くはCDと価格差がありませんでした。やはりここは価格差をつけてほしいところです。配信の魅力は手軽に好きなデバイスにダウンロードできて、CDよりも価格が抑えられていることです。業界全体で課題意識をもって、柔軟な姿勢でサービスの向上がされることを期待したいと思います。
次回、BLCDはまずこれを聞け!崎谷はるひ原作!しなやかな熱情シリーズレビューです。