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照英が訪ねてきた理由とは!?崎谷はるひ原作!「やすらかな夜のための寓話」BLCDレビュー

 最近、怪談の本にハマっている筆者でございます。そしたら夜ラップ音が気になって寝れない寝不足マンになりました。意外とナイーブなのね。ってそんなことはどうでもいい!

 シリーズ5作目に突入しました!おめでごうございます!ありがとうございます!(めちゃ2イケてるッ!岡村隆史風に)
 本作は原作の方でリクエストが多かったという照英&慈英編が収録されています。これまではひょっこりはん程度に登場していた照英さんががっつり出てきますので、照英ファンにはたまらない内容になっています。原作は短編集になっており、そのなかから「雪を蹴る小道、ぼくは君に還る」と「ネオテニー(幼形成熟)」を収録。前回レビューの「あざやかな恋情」から時間軸が異なる話があるので、注意が必要です。時間軸としては「雪を蹴る小道、ぼくは君に還る」が「ひめやかな殉情」その後の話。「ネオテニー(幼形成熟)」が「あざやかな恋情」の数ヶ月後の話になっています。時間軸が前後すると頭がついていけなくなるアホアホマンは筆者だけでしょうか。聞く前に予習しておいた方が、よりスムーズに作品を理解する助けになりそうです。

 原作では本作収録の2話以外にもいくつか短編作品が入っているのですが、個人的には「SWEET CANDY ICE」もしくは「MISSING LINK」も音声化してほしかった・・・。なんといってもドエロなんです・・・。ただ、それだけなんです・・・。

 与太話はこのくらいにして本題にイクぜ!

 

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 作品名:やすらかな夜のための寓話
 原 作:崎谷はるひ著
 レーベル:Atis collection
 メインキャスト:秀島慈英(CV.三木眞一郎)× 小山臣(CV.神谷浩史)
 設 定:画家 × 刑事
 ジャンル:サスペンス/ロマンス
 エロ度:★★★☆☆
 ラブシーン回数:2回
 ラブシーン分数:12分13秒(1回戦,4:35 / 2回戦,7:38)
 あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 刑事である小山臣は昇進試験に合格して長野の片田舎で駐在所勤務となり、恋人で
天才画家と名高い秀島慈英と同棲をはじめて1年が経つ。そんな二人の大晦日を書いた
「雪を蹴る小道、ぼくは君に還る」。その後に続く「ネオテニー(幼形成熟)」では
照英が長野に突然やってくる。彼が持ってきた1枚の絵。その真意とは・・・。
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 がっつり告知してってんな!
 冒頭ではスピンオフとしてCD化されている「あなたは怠惰で優雅」の弓削碧(CV:鈴木達央)×志水朱斗(CV:梶裕貴)カップルがご登場。鈴木達央×梶裕貴というゴールデンカポーをチラつかせて、がっつり3年後の告知していってます。CDしか聞いていない人たちは「え?えなに?待ってこのゴールデンキャストのカップルどうなんの!?」主に期待という混乱に見舞われることでしょう。

 梶裕貴さん演じる志水朱斗を利用して、業界人のお付き合いから逃れる慈英。
梶裕貴さんが高めの声でしゃべる関西弁がたまらなくかわいいです。そして「秀島さん、こんばんは」と感じの悪い登場をしたのが、鈴木達央さん演じる弓削碧。俺様。ものすごい俺様。朱斗に「大人しくしとけ」だの支配欲満々の台詞を飛ばすのですが、ここはセオリーとして側にいるキャラクターが制止しそうなものですよね。しかしそこは慈英です。自分に親切にしてもらった人間でも、なんら口出しはしない。ここで下手な正義感振りかざしたりしたら、それこそ慈英というキャラクターが崩れてしまいます。こんなとこでも慈英なのだなあと感じました。

 碧× 朱斗カップルの存在感と今後のフラグを十分におっ立てたトラック1でした。(うまいことやりおんな!)

 いないはずの家に人が・・・待ってた♡
 勤務があって朝に帰ると聞いていたはずなのに、家に明かりがあるのを見つける。そこには臣が待っていて、慈英がドアを開けるよりも先に・・・

 「おかえり♡」

 一気にホームモードの二人が、この一言でパアーっと広がります。これまで慈英が家で待っていることの方が多かったので、部屋を暖かくして待っていた臣が、そのドアを相手より先に開けて迎えるという状況が、たまらなく愛おしい。

 「明日お休みですよね。いい?」

 三木さーん!誘い方!フェロモンがもうゴイゴイスー!小声ブレスがものすごい色気を放ってます。ダミーヘッドマイクで聞いたら耳から蒸気吹き出すレベルです。これには臣も頷く以外の選択肢がない。慎ましげに返事をしたのはいいのですが、そのあと慈英に久しぶりか聞かれて、

 「ちょっとじゃない。もう1ヶ月してない」

 とか言うー!声を震わしながら言うのです。いやいやいや待ってたじゃない。そしてそのあとの台詞で卒倒。

 「欲しかったの、俺だけ?」

 ふぁー!いかん!こらいかんよ!神谷さん悪いなー!ファンの脳ミソを鷲掴みにするプロの仕事と言わざるを得ない。まさにBLCDだからこそ聞ける艶のある台詞。神谷さんのこんな台詞は他じゃ絶対聞けませんね!

 そして慈英が興奮して腕を押さえつけるシーン。原作ではCDほど強く拒否してないんですよね。原作のままでよかったのではと考えもしましたが、嫌なことははっきり拒絶する臣の方が、キャラクターの一面として合っているといえば納得できる部分もあります。しかしセックス依存症のきらいがある臣ですから、恐怖を口にしながらも快感で物理的に拒否できない、という方がしっくりくるなと思いました。

 原作ではさらに大ボリュームの濡れ場シーンなのですが、カットされているところで聞きたかったのは、臣が下腹部の撫でながら言った、

 「ここ、このへん」

 の台詞。腹の上から慈英を愛撫するという高度な技術をみせる臣さん。もはやエロの師範代。

 魔性の13歳、慈英のショタ時代最強伝説

 「ネオテニー(幼形成熟)」は、慈英の従兄弟である18歳の照英と、13歳の慈英との過去を書いた作品。この話では現在はジュエリーデザイナーである照英が、過去に画家として活動していた時期に返ります。夏休みの間、友達と遊ぶこともせず、ずっと絵を書く照英を眺めている慈英。興味があるならと絵を書く道具を渡すと、慈英は照英の抽象画を書いた。自分が絵を書くきっかけを渡したその相手の圧倒的な才能を目の当たりにして、照英は筆を置くこととなる。そのときモデルにしていた慈英の肖像画、“ネオテニー幼形成熟”が照英の最後の絵になった。字面だけ見るとシリアスなお話です。

 そのシリアスがぶっ飛ぶほど、ショタ慈英がえれえことになってます。ネオテニー、つまり子供のままセックスできるのはおかしいとか、学校で教わったコンドームの付け方を試したら勃起してそのままマスターベーションしたとか、上半身を露出した照英の汗を舐めるとか!いやいやいや、

 正気ですか?

 照英もよく正気でいられたなと。ただの従兄弟ではない、なにかただならぬ関係があるのでは、と深読みしてしまう妖しい会話。煩悩だらけの筆者は二人の複雑な関係性よりも、ショタ慈英の魔性さにクラクラしていました。

 照英の清算、慈英の自責、臣の嫉妬
 今回照英が慈英を訪ねてきたのは、絵をやめるということについて句点をつけたかったからだと考えます。照英にとっては、才能の差という意味でわだかまりができても慈英は大切な従兄弟で、その慈英の恋人である臣に最後の絵を預けたということは、慈英に安心を与えたかったからなのではないかと思うのです。そうはいっても16年もの間、最後の絵を捨てられない程度の未練は残っていて、新しいパートナーを迎える準備で出てきた最後の絵をみつけて終わりにしようと思った。そしてそのことを、ネオテニーを完成させて臣に渡すことで伝えたかったのでしょうか。俺はもう大丈夫だと。本編や原作にある、臣に絵を譲ることで慈英の手を離した、という表現はここに繋がってくるのだと思いました。

 そして今回は珍しく臣が嫉妬に悩まされていますね。いつもは無頓着な臣に過剰な、というか恐怖すら感じるほどの嫉妬を燃やす慈英という図が定番ですが、慈英の唯一の理解者である照英を見せつけられて、もやもやさせられています。昔二人の間になにかあったのかと勘ぐりますが、臣さんそれ近親相姦・・・。ただ13歳の慈英が汗を舐めたとか聞かされたら動揺するわけですわ!

 二人に気を遣って駐在所に戻った臣のもとに、弱った慈英がやってきます。自分は絵を書くことで誰かを傷つけているかもしれない、と落ち込む。なぐさめる臣が照英の話を持ち出して笑っていると、今度は慈英が他の男の話をしながらかわいい顔をしないでほしいとジェラシー。(なんだよおい安定のラブラブトレインだな!)照英挟んでなにをやってるのでしょうねこの二人。

 駐在所で背徳ランデブー
 職場で致す。しかも警察官。ダブルで背徳感がゴイゴイスー。スーを差し上げます。ラストの濡れ場は駐在所のシャワールームからお送りします。この濡れ場、エロいというより、怖い。はじめてのマスターベーションがつまらなかったと言った慈英に、それは相手に困らなかったからだと初体験を聞いたが最後、自分は絶対臣の初体験がどうだったか聞きたくないと、粘り気のある嫉妬心をむき出しにします。

 「でも、もう、俺のです。ぜんぶ。そうじゃないあなたは認めない。というか、許さない」

 バッグで流れるBGMも不協和音のような音楽で、それが余計に慈英の嫉妬心が過剰で執拗であることを強調して怖いという。でも当人の臣さんは「ぜんぶ俺の」と言われて、ラブズッキュンされておる!臣さん慈英に関してはざるなので、ほぼラブズッキュンに変換されます。

 本編ではカットされていますが、声を気にした臣がとんでもねえこと言いだしてます。

 「いっそ、声出したくても、出せないようにしてやっちゃうのは、どう?」

 これ聞きたかった!本編のこの駐在所ランデブーではいつもの臣が言うようないやらしい台詞がないので、これは入れてほしかったですね。手を押さえつけられてされるのは嫌なのに、自分から猿轡を望むなんて・・・。確かにこの台詞があるとトラック3で手の拘束を拒絶した行動が矛盾になるので入れられないのですが、原作の流れそのままであれば矛盾解消&エロ増量になるお。原作では結局手を縛られて、えんやこらさっさ。(拘束されるの怖いとか嘘やないかい!)

 末筆
 本作は前作までとは違ってサスペンス要素はなく、二人の日常や、照英と慈英との関係性などを中心に短編集らしい作りになっていました。なかでもショタ慈英は強烈でしたねー。なんだよあれ、マジでトラウマレベルでエロいよ。

 照英との関係性や冒頭で出てきたスピンオフのお二人など、今後の展開にに欠かせない短編集を収録した印象でしたが、原作のこれが聞きたかった!というわがままな筆者の欲望も結構ありました。短編集のなかでも割とエロ薄めの2話だったので、いつか、「SWEET CANDY ICE」や「MISSING LINK」の円盤おなしゃす。待ってます。(ジャンピング土下座で祈りながら)

 次回、慈英がまさかの記憶喪失!?君の名は?状態!崎谷はるひ原作「はなやかな哀情」レビュー