皆さん聞いてください。先日、鳴かず飛ばずの当ブログのPV数アップを目的として、ツイッターを開設したときのことです。なんと、今回取り上げるBLCDの原作者であらせられる和泉桂先生ご本人からリツイートいただきました!おめでとうございます!ありがとうございます!まあーすごいことよ。あの和泉桂先生ですからね?数々の名作と名言を生み出したBLノベル界の宝ですよ。しかも開設一発目の反応が和泉先生。こんな僥倖があっていいのでしょうか。原作者ご本人からリツイートいただけるなんざ贅沢の極み。幸先いいぞこれは!ありがたいことです本当に。
和泉先生、リツイートありがとうございます!
そんなわけで俄然やる気茶屋の筆者。大大大えこひいき目で記事を書いていきたいと思います!
作品名:罪の褥も濡れる夜2
[原 作]和泉桂 著
[レーベル]ムービック
[発売日]2015年 2月 27日
[メインキャスト]伏見義康(CV.遊佐浩二)× 清澗寺冬貴(CV.神谷浩史)
[設 定]官僚 × 御曹司
[ジャンル]明治ラブロマンス
[エロ度]★★★★★×45億
[ラブシーン回数]8回
[ラブシーン分数]28分04秒
(1回戦,2:41 / 2回戦,0:25 / 3回戦,9:30 / 4回戦,0:53 / 5回戦,0:30 / 6回戦,0:27 / 7回戦,2:50 / 8回戦,10:48)
あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
大正3年、伏見義康は嵯峨野のもとに残り政財界の仲介役として動く一方で、清㵎寺
家の秘書として冬貴とその家族の生活を支えていた。嵯峨野は義康の立場を強固に
するため結婚話しを持ちかけるが、冬貴は断固としてこれを拒否する。そして時代は
華族制度に対して厳しい目を向けはじめていた。相変わらず外の世界に興味のない
冬貴は、ある青年と逢瀬を重ねていた。華族制度廃止を推し進めようとする運動に
加わっている片岡は冬貴に心酔していく。二人は計画していた旅行に出かけようと
待ち合わせをするが、片岡と運動を共にするメンバーの一人に拘束され、冬貴もまた
監禁されてしまう。上海から帰国した義康は冬貴が誘拐されたと知らされ、実行犯の
指示に従って冬貴のもとに駆けつけると・・・・・・?
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■ちょっとビターなハート泥棒!嵯峨野のおじい様×貴久!
はっきり言おう。筆者にとって嵯峨野のおじい様とは、準レギュラーのモブおじさんだった。(おいおい)過去形なのは本作を聞いたからに他ならない。和泉先生、ここもちゃっかりBLじゃないですか!さすが和泉先生、抜かりがない。
本作はトラックの最初と最後に原作小説「終わりなき夜の果て上・下」の中から宵闇と暁闇が収録されています。なんとこの2つのトラックには嵯峨野と貴久しか出てきません。そのため義康×冬貴カップルを期待して買った人は、期待はずれな印象をもつ可能性があります。がしかし!この二人の関係性や、義康と冬貴に対する心情を知ることで、さらに物語の深みが増して萌えも倍増。別の切り口から作品を楽しむことができるんだぜ!
この二人の関係は、冬貴が情欲で義康と繋がろうとするのに対して、嵯峨野と貴久は肉体関係を挟まない精神的な部分で繋がっています。二人とも別の女性と子供をもうけていますが、冬貴が義康に心を許すことと同じような愛情を傾けてはいません。嵯峨野と貴久は肉体関係なしに互いが心を預けられる存在なのでしょう。むしろ肉体関係がないからこそ精神面で深く繋がっているといえます。
—おまえがそばにいるように— (宵闇から嵯峨野のモノローグ)
「おまえは満たされているだろう?私がいるからな」 (暁闇から貴久の台詞)
「待つだけの三十年か。おまえが来るまでは、退屈だな」 (暁闇から貴久の台詞)
死したあともなお繋がっていたい願う、海底2万マイル級の愛情!これにはBLO(ビーエロ:BLにおけるエロスを指す)が主食の筆者も唸りました。おそらく人生の半分以上の時間を共有してきた二人でしょう。嵯峨野は清㵎寺家が、貴久が生きていける世の中を作るために最後まで奔走し続けた。貴久も特殊な血筋であるがゆえに真の理解者は、唯一嵯峨野一人だった。考えてみると義康は、清㵎寺家を守るという意味では嵯峨野と同じ道を辿っている。嵯峨野と貴久が相思の仲だったからこそ義康と冬貴も出会うことができたとも考えられる。深い・・・・・・。深いぞ清㵎寺!
演技の面でいうと、三木さんの台詞の1つ1つが冬貴のそれとマインドが重なるんですよ!言葉の選び方が同じでも、演者によって印象は変わるものだと思うのですが、貴久が話していると自然と冬貴が出てくる。けれど決して冬貴も貴久も互いに真似ている感がない。聞いていると、冬貴は貴久の子供なのだなあと聞く側に印象付ける。声質も全く異なる二人の声優なのにです。改めて声優さんってすごいなあと、小学生の作文のように単純で純粋な感想を持つのでした。
■コンサートでインサート
この濡れ場はまた清㵎寺シリーズにしては短いながら、濃密。本編でも最中にクラシックの演奏が流れているので、大体の状況は理解できると思います。はい。コンサートの会場内でヤってます。原作には「座席のすぐ後ろにある大理石の円柱」とある。演奏の音でかき消されるから大丈夫☆じゃないよ!このCD最初の濡れ場がコンサート会場という、毎度お馴染み清㵎寺シリーズです。
それでまた冬貴が、神谷さんが、またパワーアップしておる・・・・・・。このお方はなんでしょう。常に新しいスキルをもってやってきますよね?筆者は前回よりもまた艶が増してるな?という印象を持ちました。特に声を押し殺しながら切れ切れの痙攣ぎみな喘ぎ。匠かよ・・・・・・。
「立ったまま挿れて」
これ一体どういう体位で致したのか。気になりませんか?原作にも体位の描写はないので想像し放題。そこで想像しうる体位を挙げてみよう。
体位その1.バック
服を少し下げて柱に手をかけ尻を突き出せば、ハイできあがり。一番現実的な体位ですね。
体位その2.バレエダンサー
これは筆者の好みです。こうであってほしい希望的観測でもあります。背中を円柱に預け、義康が冬貴の片足を持ち上げて、ハイできあがり。
体位その3.駅弁
対面で冬貴を義康が抱っこして背中を円柱に預けてバランスを取れば、ハイできあがり。動作が大きくなるので一番リスクの高い体位ですね。
皆さんはどんな体位で想像しましたか?
■冬貴チャレンジ
嵯峨野に呼び出された冬貴。義康に結婚をさせたい考えがあると相談を受ける。
「嫌だ」
いや2歳児の断り方!なんの調理もしない生の言葉をそのまま投げつける三十路!不機嫌な冬貴もまたかわいいです。華族制度に風当たりの強くなってきた昨今の論調もあり、義康は清㵎寺家を維持することに苦労していた。影響力のある家と婚姻を結べば、義康の立場を強固にできるという、いわゆる政略結婚の提案だった。聞こえは義康と清㵎寺のため、ですが義康が動きやすくなるということは嵯峨野も動きやすくなるということですから、結局は利己的な提案ともいえます。まさに狸じじい。この提案を断固として譲らない冬貴に、嵯峨野が問う。
「冬貴、おまえは義康を守れるか?」
男を誑かすことしかできないおまえに何ができるのか、問い詰められた冬貴は、義康を守ってみせると意気込む。
とまあ嵯峨野に火をつけられてしまったわけですね。でも実は冬貴、以前にも義康を助けたことがありますよね。「罪の褥を濡らす愛」で美人局をしたり、嵯峨野の暴漢事件をでっち上げたことで義康の尻を叩くことになり、結果として護憲運動を早期収束へと導きました。いやいや嵯峨野先生、冬貴はやることやってますよ!なんて思ったのですが、ちょっと待てよこの狸じじいと。こうやって冬貴をけしかけて、今度は自分が動かずとも華族制度廃止を訴える目の上のたんこぶ排除を目論んでいる!さすが政界の重鎮。人をどうやって動かすか熟知しています。逆にこれだけの強かさがないと、貴久の相棒は務まらないのかもしれません。
■ドイツ人指揮者じゃなくてこちらが悶死します。
コンサートでインサート編で、神谷さんの濡れ場演技がさらに進化していることを示唆されました。本トラックでは10分弱の長丁場で、いよいよその本領を見せつけられます。神谷雑技団による殺傷能力の高い妙技を見ていこう。
妙技その1.咥えながらねだる「早く、おっきくしてえ?」
義康の猛る肉を口に含みながら発した台詞。唾液と体液が口にまとわりついている様子がはっきりと浮かぶようなこの演技!この手の演技はあまりやりすぎるとギャグのようになってしまうし、力の加減を選ぶ難しい演技だと思います。そこを絶妙な加減と、臨場感のあるリップ技で表現。この人の底力には敵いませんね!
妙技その2.確実に上達しているチュッパチャ○プス音
筆者の分析によれば、神谷さんのオーラルはチュッチュタイプ。咥えたまま喋る演技は悶絶もの。ただ咥えている最中の演技は、吸っている描写をシンプルに表現されている印象でした。(要は少し物足りなかった)が、このトラックの濡れ場で、彼の成長を目の当たりにすることになるのです。特に口に含んでいくときの演技と、喉の奥まで激しく抽挿される演技は必聴です。
妙技その3.こんなにポジティブさせる否定形はない
義康がオーラルで冬貴を絶頂に昇らせたあと、治ったか聞かれると「ううん」と否定するシーン。KA WA EE !こんなに人を興奮させ、ポジティブにさせる否定形はありませんよ。よし!もっとやっちゃお!つって。冬貴は淫靡な様で人を蠱惑することに関しては、ほぼ右に出るものなしの最強キャラクターですね。
■心底不憫な片岡青年!
今回完全にかませ犬な片岡青年。冬貴にぞっこんな完全ガチ勢の片岡青年は、わざと雑誌を置いて帰ったり、組織の金を持ち逃げして駆け落ちしようとしたりします。けれど情事のあとは甘いピロートークもなく、熱心に愛情を伝えている最中にあくびされるし、組織に金の持ち逃げがバレて監禁された挙句、次々と他の男と肉体関係を結んでいく様を見させられた挙げ句、片岡青年は激昂して我を忘れ、刃物を振り回し犯罪者になってしまいます。もちろん冬貴にも振られます。
誰が一番好きなのか問いただすシーンでは、
「誰でもいいから早くここに挿れて?」
誰でもいいって言っちゃったよ!もうかませ犬どころかサンドバック状態の片岡青年。
華族制度反対運動に参加するなど、その正義感溢れる片岡青年の生真面目さ、井上さんが見事に表現していましたね。井上さんは「TIGER & BUNNY」のスカイハイのような、天然真面目くんを演じるのが本当にうまい。爽やかだけれど少し堅めの話し方が片岡青年の人となりを声で説明していますよね。キャラクターにばっちりはまっていました。
■血の海で狂気のキッス
上海から帰国した義康は冬貴が誘拐されたと聞かされ、その首謀者である仲森からの電話を受け、現場の屋敷へ向かう。そこには血の海のなか煙管をふかしながら笑う、冬貴の姿が。そしてここからが狂気の行動。怪我人が出ているのに救護もせず、冬貴に何か着るものを探そうとする義康に「先にすることがある」と口付けを求める。いやいやいやなにしてんの!そして極め付けが、
「あたためてくれるだろう?」
え?今ここで?ちょ、ど、え?なんで?なんでそうなった?時と場所を考えようか?さすがの筆者もそんなツッコミをせざるを得ないイカれた状況。そういえば冬貴って、清㵎寺だったね。と改めて清㵎寺のもつ破滅と腐敗の因果を思い起こされた1シーンでした。
■義康を守る、その言葉の裏にあったものとは?
そもそも冬貴が片岡青年に近づいた理由は、華族制度廃止運動が義康の邪魔になると考えたからです。加えて嵯峨野に対しては、義康を守れる自分を示す必要があった。しかしそれ以外にも、冬貴にはある意図がありました。
「もう一度捨てる必要はない」
今回の流血事件の裏には、冬貴のために実の兄である広康を切り捨てた義康を思いやる気持ちがあったのです。華族制度廃止運動の一員であった三浦は、論文を広康の名義を使って寄稿していた。センシティブな内容だけに、広康にも迷惑がかかる可能性が高い。広康を疎む義康が助けることはしないだろうから、結果的に二度捨てることになると考えたのでしょう。負傷したものたちが横たわるその血の海のなか、キスを求める気の触れた冬貴がいたと思えば、こうした情深い一面もあったりする。ギャップが大振りすぎるよ・・・・・・。難易度高めのギャップ萌えです。
■今度は冬貴が刃物を振り回す!義康ピンチ!「おまえを殺す」
人を駒のように動かす嵯峨野は、それでも義康の結婚をそうやすやすとは諦めない。さすがミスター狸じじい。しつこい狸じじいに業を煮やした冬貴。日本刀を持ち出し、その矛先を向けた相手はもちろん・・・・・・義康!まさかの義康!どうしても結婚させるというなら、義康を殺して自らも死すと言い出した!天城越えもびっくりの演歌節だよ。義康も「え、嵯峨野さんじゃなくて俺?」っていうね。
ただこの行動で冬貴と結ばれるとは、すなわち一心同体になることであって、離れることは体を引きちぎられることと同義。沼のように重たく纏わりついて、動けば動くほど底に引きずられていくような愛情。
また本作での冬貴は、義康の一挙一動に傷ついたり動揺しているような描写が散りばめられていました。愛の意味がわからないのに、愛などいらないと言われて傷つく。冬貴も寂しいと思うこと、寂しいと思うことの輪郭くらいはわかりはじめたのかもしれません。
■この世でこんなにエロい“ライト&レフト”はない(断言)
はい、やって参りました本作のメインディッシュ。もうすごいことになってますトラック12が。暴れちゃって暴れちゃってしょうがない!冬貴と義康が全力であたためてくれるので汗ぐっしょぐしょです。
まずはじまるやいなや、冬貴がもう我慢ならない様子がたまらなくエロい。呼吸が荒く小刻みに震えている。冬貴の体が義康に会いたくて会いたくて震える。そんなデンジャラスな状態なのに、なかなか及ばない義康にしびれを切らし、自分で慣らしはじめます。
「挿れたく、なったか?」
刺激に耐えながら義康を誘う危うげな台詞!挿れたくならないわけがないだろう!それでもまだ焦らす義康。あの冬貴を前にしてギネス級の我慢強さを発揮。そしてここからが聞きどころ!それでもまだ前戯に走る義康は乳首だけで、それも左の乳首だけで達するよう指示。
「ひだり、ひだりで、ひだ、いくっいく」
これ本当に一歩間違えると爆笑のギャグになるリスクがあるのに神谷さん!あなた本当に何様ですか!(神谷様です)左という言葉に興奮することは後にも先にもこれが最後でしょうね。左が来たからには右に行かないわけにいかない。
「みぎっ」
これまた右という言葉にこんなに興奮することは後にも先にもこれが最後でしょう。この世で最もエロいライト&レフトを、その歴史的瞬間を聞くことができて、地球に生まれてよかったです。
そして焦れ焦れに焦らされてようやく受け止めることができたのに、今度は動かない義康。(やい義康、お前いい加減にしろよ)長きに渡る一進一退を乗り越えて、欲していた刺激が冬貴の体を貫く。
「きもちいい?」
冬貴からこんな言葉を聞くとは!これまで自分が気持ちいいことを伝えることはあっても、相手にそれを聞くことはあまりしていなかったような印象だったので、おお!と感動してしまいました。普段みせないしおらしい冬貴という要素と、また我々のなんたるかを熟知してみぞおちを突いてくるような攻撃力の高いイントネーションが憎い。いーいあたためでした・・・・・・。
■末筆
戻ってきた冬貴スペシャル(義康もいるよ)いかがでしたでしょうか。本作の聞きどころはなんといってもバージョンアップしている神谷さんの喘ぎ声でしょう。2015年でこのレベルですから今どうなんだろう・・・・・・。2020年の冬貴はどんなことになっているのだろうと妄想するだけで汗ぐっしょぐしょです。(サードインパクト冬貴聞きたい!)
今回は冒頭と末尾に嵯峨野×貴久編が収録されていることにより、また違った角度から善康や冬貴のことをみることができました。それを踏まえつつ華族制度廃止問題を軸として、少しずつ変化する冬貴の微妙な気持ちの揺れや、義康の結婚問題などに触れながら濡れ場もきっちり入れてくるという鉄壁のシナリオ。三浦が実は片岡青年に好意を寄せているという細かい描写があるところなどは、物語を充実させることに余念がないなあと感じました。
これで義康×冬貴がメインのCDは最後なのか・・・・・・。まだまだあたためてほしいのに・・・・・・。我々をもう一度あたためてくれ!
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