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ノジケンが演じる!綺麗な御坊ちゃまは好きですか?和泉桂原作!「夜ごと蜜は滴りて」BLCDレビュー

 花粉症なのにコロナウイルスの影響でマスクが買えない鼻垂れ小僧の私です。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 今回は冬貴メインカップルの「罪の褥も濡れる夜」から気になっていた、

 「お じ さ ま ☆」

 でおなじみ、和貴メインカップルの「夜ごと蜜は滴りて」を取り上げたいと思います!もうとにかく野島さんの「おじさま」を聴きたいだけの筆者。たっぷり堪能させていただきます。

 また野島さんは最近メインで新作に出てくださっていますね!奇跡のカムバック!ちる箱5thにも出演されており、お?今後はBLも精力的にやっちゃう感じですか?野島姉さん!もとい、野島の綺麗なお兄さん(弟だけど)!

 ツイッターをはじめて、ブログ読んでくれる方が亀の歩みペース増えまして。(ありがたき!)「BLCD声優カムバック」を望む方がちらほらいらっしゃるのですよね。野島さんだけでなく、他の中堅声優さんやベテランの新規参入を、私たちは応援しています!(誰)

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 作品名:夜ごと蜜は滴りて
 [原 作]和泉桂 著
 [レーベル]ムービック
 [発売日]2006年 9月 29日
 [メインキャスト]深沢直巳(CV.小西克幸)×清澗寺和貴(CV.野島健児)
 [設 定]元秘書 × 次期当主
 [ジャンル]大正ラブロマンス
 [エロ度]☆★★★★
 [ラブシーン回数]5回
 [ラブシーン分数]21分12秒
 (1回戦,2:12 / 2回戦,8:25 / 3回戦,1:30 / 4回戦,3:50 / 5回戦,5:15)

 あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 清㵎寺家現当主である冬貴の長男、国貴が駆け落ちしたことにより次期当主は次男の
和貴が務めることになった。しかし和貴は自分の容姿が父親で色狂いの冬貴そっくり
であること、そしてなにより清㵎寺に生まれた境遇を憎んでいた。その反動から位の
高い男を引っかけては手酷く切り捨てることで、色欲に動じない自分を証明する行為を
繰り返す。あるとき同僚で首席秘書官である深沢直巳との何気ない会話のなかで、彼の
高潔な理想論を知ることになり、それに劣情を抱いた和貴は彼を毒牙にかけようとする
が、深沢は強く抵抗することも、行為に心酔することもなく、ただただ受け入れるばか
りだった。頑なな深沢にしびれを切らした和貴は、妹の鞠子の婚約者として清㵎寺家へ
引き入れ、家共々破滅させようと目論む。しかし深沢はどんどん清㵎寺家のなかでその
存在感を増していく。深沢の目的を探ろうとするが、豹変した深沢に抱かれてしまう
和貴は感じたことのない悦楽を覚えて・・・・・・?
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 ■こじらせ次男坊、和貴ピッピ
 え?ピッピの使い方間違ってない?大丈夫?中年もピッピって言いたいピッピ。(違)

 こじらせてるといったらもう清㵎寺家丸々こじらせてるわけですが、和貴は清㵎寺生まれであることと、冬貴と、冬貴にクリソツな自分を呪って家共々ぶっ壊しちゃえ系こじらせな次男坊。ただネガティブな根暗野郎じゃないところが和貴の特徴。その満ち溢れる恨み節を復讐に向けるバイタリティを持っています。

 父親である冬貴が大嫌いな和貴は、自分が父親とは違うことを証明するため、特に地位の高い男性を引っ掛けては「一回寝たくらいで勘違いしてんじゃねえよバーカ!」つってブンブン振っちゃう。そんなえげつない顔の裏で、僕にはなにもないだとか、清㵎寺を破滅させてやるだとか、ラストまでずっと和貴の恨み節は続きます。そしてこれらは全て深沢くんに調教される前の”振り”なのです。人を思うままに陥れることが生きがいの性悪こじらせ次男坊であることが、後半に現れる夜の深沢くんに調教されることによって、自ら足を開き跪いて懇願するようになるというこのギャップな!我々の不謹慎な嗜虐心をくすぐる設定でございます。

 こういうネチネチネチネチした受けというのは、ずっと聴いているとイライラしてくること多くないですか?しかもCD2枚組の9割はずっとネガティブですから、さすがに聴いている方も「お前いい加減にしろよ」と言いたくなる。そこを大きくカバーしているのが野島さんのお声!なめらかで上品、少しハスキーがかった声質がまたセクシー。寝る前に聴いていたいような癒し効果の強いお声。この心地よい野島さんのお声があるからこそ、疲弊することなく聴いていられました。

 ■おじさま連発
 「夜の褥も濡れる夜」では短く収められていたおじさまターン。本作ではたっぷり収録!しかもトラック1からがっつり!そのモノローグで、14歳で和貴の初体験が義康だったとあって、義康てめえ!ってなりましたよね。14歳の美少年から抱いてくれって誘われたってことですよ?この男は冬貴という手に余るほどのエロかわいい恋人がいながら、その息子にまで手をつけるとは!こやつはもはや妖怪「中学生むしゃむしゃオジサン」と呼ぼう。冬貴も学年でいえば中学1年生のときに義康と初体験。和貴は中学2年生。なんなのこの家は皆さん中学生で男を経験する習わしなの!中学性!エロいよ好きだよ最高だよ!そうなると今度は清㵎寺家キャラクター別の初体験年齢マップが知りたくなるな。(ボソボソ)

 時を戻そう。(ぺこぱ)夜会を抜け出し、テラスで休んでいたところに中学生むしゃむしゃオジサン、もとい義康が登場。和貴は慣れた仕草で義康を誘惑します。

 「今夜だけ騙されてくださってもいいでしょう?」
 「あなたが仕込んでくださったところも、父と同じ」
 「おじさま、ここも触って」

 一番上の台詞以外はCDオリジナルの台詞です。脚本GJ!よく考えたらまず親の情夫を誘う14歳の和貴けしからんし、エロくて綺麗なお兄さんからこんな台詞を向けられたら一溜まりもないですね。喜んで和貴お兄さんに破滅されられるモブオジサンに立候補しようと思う。

 ■どんなに嫌っても親子だなと思った瞬間
 とってもお堅い深沢くんを痛い目に合わせたい和貴は、自分に溺れさせて捨ててやろうと、酔ったふりをして深沢宅へ侵入。介抱する深沢にオーラルを仕掛ける和貴の台詞がこちら。

 「君はこんなにおいしいのに」

 出ました!清㵎寺家伝家の宝刀、おいしい!和貴くん残念!やっぱり親子だよあんたたち。そしてどこまでも清㵎寺だよ。この「おいしい」は、父親の濡れ場を聞いて無意識に遣ってるのか、義康に教え込まれたか、清㵎寺の遺伝子に組み込まれた台詞なのか。筆者、全シリーズまだコンプリートしていませんが、全員言うわけでしょ?和貴は義康に要因があるとして、他の子らはどうなんだいって話になりますよね?清㵎寺家の皆さんは快楽に敏感ですから、体質的にもう美味に感じる血筋なのかな!和貴くんも血は争えませんね。

 ■ひょっこり冬貴が強すぎる
 本作は和貴がメインの作品ですが、ちょこちょこ出てくるじゃないですか。冬貴が。たまにそっちの方に興奮しちゃって、和貴が薄くなってしまう瞬間がございましてね・・・・・。聴いてびっくりしたのが、シリーズ2作目にして既に冬貴のキャラクターが出来上がっている件。のちに聴く「夜の褥も濡れる夜」と比べてもなんら違和感がないという。発売日順を遡って聴いているので、余計にその完成度の高さに感心してしまいました。

 冬貴が自分の子供に興味がないことは「夜の褥も濡れる夜」のなかでも語られていることですが、本作ではその部分が和貴の視点から描かれています。情報として知ってはいましたが、こりゃひでえ父親だ!教育はエロのみ。しかも見て習え系。お陰で和貴トラウマですよ。と、いうことで突然ですがここで清㵎寺冬貴の冷徹を見て行こう。

 冷徹その1.幼い子供に不倫相手との情事を見られておいて笑っちゃう
 冷徹その2.娘の年齢を知らなくて息子に聞いちゃう
 冷徹その3.子供の婚約披露の会で「もう飽きた、部屋に行こう?」って言っちゃう
 冷徹その4.深沢ともキスしちゃう
 冷徹その5.家督を譲るとか大事な話をしている最中に寝ちゃう(寝息すらエロい)

 ちゃう、ちゃう、ちゃう!お父さんちゃいますやん!そんなん言うたらあきませんやん!これ以上やると関西圏の方に怒られるのでこのへんでやめておきます。
 いやはやこのひょっこり冬貴、インパクトが強すぎてシリーズ1から聴いていた方は冬貴メインはよ!と貧乏ゆすりが止まらなかったでしょうな。

 ■ミイラ取りがミイラになった和貴様
 清㵎寺家に対するネガティブな感情を燃料にして「破滅させてやる」と息巻いていた和貴。深沢を妹の婚約者にして取り込み、もはや崩れかけている家共々崩壊させる算段だった。ところがそんな和貴の思惑とは逆行するように、傾きかけていた事業を立て直し、家の者とも良好な関係を築き、着実に清㵎寺の支柱として存在感を大きくしていく深沢。そんな彼をを目の当たりにした和貴は、清㵎寺を踏み台しにして政界へ進出しようとしているのではという疑心が膨らんでいく。そしてその疑念から、パンドラの箱を開ける鍵となる質問をぶつけてしまったが最後・・・・・・。むちゃくちゃされます。

 絶頂を管理され、はしたない言葉を強いられ、自らそれを望むよう徹底的に調教される和貴。

 調教の成果その1.「お願い、いかせて」
 調教の成果その2.「さわるっだけ・・・ぁ・・・」
 調教の成果その3.「キスを」
 調教の成果その4.「僕は、お前のものだ」

 男を貶める行為が人生の生きがいとすら考えていたあの和貴様が、この有様ですよ。個人的にグッときたのは「その2」ですね。触るだけで済むとは微塵も思っていないことが最後の小さい「ぁ」に出ちゃってる。お前最初から期待してたろ!つって。

 BLのセオリーとしてたまらない設定ですよね。性悪な野郎が快楽によって、マゾヒズムを引き出されていく構図。そしてその崩れ落ちていく様をまた野島さんがお上品とおげれつを同居させたダブルパンチ演技で攻める!(実際には受けてる)野島さんのあのどこまでも初々しい、清廉な青年にイケナイことをしている背徳感をこちらに与えてくる純白な感じ。これはなかなかスキルでどうにかできるものじゃないと思うのですよね。持って生まれた無二のものというか。野島さんが起用されたことで、和貴というキャラクターに奥行きが出ていますよね。

 ■深沢が破滅させたかったものとは?
 受け至上主義ゆえここではじめて登場する深沢くん、すまない。和貴に対して鬼畜な所業を重ねる深沢。彼は清㵎寺家に入り込んで一体なにがしたかったのか。それは和貴が連発している「破滅」という言葉が一つの軸になっています。清㵎寺を憎み、破滅させたかった和貴を、深沢は破滅させたかった。だから雌犬とか言っちゃうのも、香水瓶入れちゃうのも、家督としての主導権を握ろうとするのも、全て愛がゆえの冷徹だったのです。和貴が背負い鎧っているものを壊し、深沢に愛されていればなんの不安もない場所を与えたいという思いからの調教だったわけです。

 和貴が背負っているものや、マゾヒズムの素質も見抜いていたなんて、恐ろしい男。おそらく高潔な男を演じていたのも、全て和貴の目を自分に向けさせるものだったに違いありません。最初から狙われていたのは和貴だったんだな。なんか、和貴ピッピ、井の中の蛙だったな!どんまい!

 ■編集と演出面で穴が多かった印象
 BLCD向上委員会としては、良いことばっかり言ってられないのよ!(急に)ということで今回気になった点がいくつかあったので挙げたいと思います。

 改善点その1.原作からの脚本化に難(特に濡れ場)
 原作が長編なので、2枚組のCDにまとめること自体がえらい大変なのは承知しております。ただ原作を読んだうえで聴くと、本作のの脚本が聴かせる脚本ではなく、収めるための脚本になっている印象が強く残りました。例えばディスク2・トラック4では慣らしもせずに挿入したような描写になっていますが、原作ではたっぷり慣らしている描写が書かれています。多少削られたり前後することは致し方のないことですが、聴かせるべきところが削られていると感じる部分が多くありました。

 改善点その2.濡れ場の最中のモノローグや台詞の演出に難
 最中にモノローグが入ることはよくあります。しかし本作では直前の演技がばったり切れて、しかも少し間が入ってから話し出すので、盛り上がっていた気持ちが一旦そこで切れてしまう。また、深沢が和貴に台詞を投げかけるシーンでも、モノローグと同じ入り方をするので、おセッセの最中にこんな静かになることあるか!と興ざめしてしまいました。

 改善点その3.メインキャストをモブに使いすぎ問題
 他のレビューサイトでも言われていることですが、さすがにちょっと使いすぎですね。声に特徴のある方ばかりなので、うん神谷さんだね、とか分かってしまいます。そこでも一度物語とは別の方向に気が向いてしまうので、気が散りました。

 シリーズ2作目だから・・・・・・っていう値段じゃないんだなあ。定価¥5,000も払ってるから大目に見れねえ!

 原作読んでいると、ここ入れてほしかった!という魅力的な台詞がたくさんあるんですよ!もちろん濡れ場面で。

 「だめ、だめ、そんな、だめ」
 「だめ、もう、でる、出しちゃう」
 「いい、から、犯して?」
 「な、嬲って・・・・・・」

 ラストの大濡れ場のシーンのセリフですね。やはり天下の清㵎寺シリーズですから、最後はがっつり15分くらいヤってほしかったなあ。

 ■末筆
 若干の不満は残るものの、相変わらず清㵎寺はエロくていい!満足感が格別ですね!和貴役の野島さんの純白可憐なお声が本当によかった。深沢役の小西さんも深みのあるお声で冷徹な調教師っぷりが板についていました。(深沢のコメント薄)

 原作に収録されていた「初体験」のなかで和貴「嬉しい・・・・・・ご褒美だ・・・・・・」が破壊力抜群の台詞なのでものっそい聴きたい。音声化をください!もしかしてどっかに入ってたりします?

 そしてこのカップルはこのあとも、本作の続編と「終わりなき夜の果て」が発売されていますよね!そこではいろいろ今回よりグレードアップしているはずですから、今から期待しかない。書くぞ!そして大丈夫か俺の財布(ガクブル)


 次回!マゾヒストのこじらせ次男坊カムバック!和泉桂原作!「夜ごと蜜は滴りて2」レビュー