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BLCD界の帝王こと森川智之の帝王たる技巧を聞け!芯から震える、これぞキ・チ・ク!深井結己原作!「その唇に夜の露」レビュー

 全国一斉休校があるなら全国一斉休業にならないかな、などと考えるくらいには働きたくない筆者です。どうも。
 さて今回は連投していた清㵎寺シリーズに一旦休憩をはさみ、BL声優界のドン、帝王こと森川智之攻めを書きたいと思います!普段から受け至上主義の筆者にとって攻めとは、受けの喘ぎ声を邪魔しなければわりとどんな攻めでも許せるっすよ〜くらいのテンションで、特段こだわりがありますん。だがしかし!このCDだけは無視できなかった・・・・・・。この受け至上主義の筆者が、攻めにぎゃふんと言わされた作品です。さあ、これを聴いてあなたも一緒にぎゃふんと言わされよう。

 

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 作品名:その唇に夜の露
 [原 作]深井結己 著
 [レーベル]Atis collection
 [発売日]2009年 1月 28日
 [メインキャスト]若江恭一(CV.森川智之)×和田琢紀(CV.遊佐浩二)
 [設 定]サラリーマン × バス運転手
 [ジャンル]シリアス/復讐劇
 [エロ度]☆☆★★★
 [ラブシーン回数]5回
 [ラブシーン分数]12分38秒
 (1回戦,3:35 / 2回戦,0:47 / 3回戦,2:46 / 4回戦,3:38 / 5回戦,1:52)

 あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 バスの運転手をする和田琢紀は平穏な毎日と望んだ仕事に就き、それなりに満足した
生活を送っていた。ただ一つのことを除いては。中学生だった和田はすれ違いから転校
してきた同級生、若江恭一を強姦した。その後二度と学校へ戻ることなく若江は街を
去った。あれから15年が経過し、もう会うことはないだろうと思っていた和田だったが
偶然客として乗車してきた若江と再会する。若江は「同じ目に合わせてやる」とバスの
なかで和田を犯す。繰り返される行為のなかで和田は自分の気持ちに気づいて・・・・・・?
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 ■好きな子はいじめるタイプです
 バスの運転手をする和田は15年前、まだ中学生だった頃に同級生を強姦した過去を背負っています。その同級生が当時和田が好意を寄せていた相手、若江です。和田は地元の名士の息子で頭も良く優等生である反面、支配欲が強いところがあり、群れたりすることはないが、同級生たちの絶対的な存在でもあった。そんな和田が、なぜ好意を寄せていた同級生に手をかけたのか。それは恋情がゆえの嫉妬だった。

 和田は自分しか知らない秘密基地(資材運搬用の引き込み線の先にある高台)に偶然迷い込んだ若江と痛みを分かち合うことで打ち解け、次第に好意を寄せていく。若江を独占したい和田とは反対に、孤立しがちな和田を心配してクラスメイトと打ち解けさせようと、黙って秘密基地に引き連れて来ます。さらにそこで家庭不和を暴露され、裏切られたと感じた和田がことに及ぶというわけです。

 うん。いじめすぎだね。いやいくら嫉妬したからとはいえ・・・・・・。いやヨネダコウ大先生も漫画のなかでおっしゃっている。「男の嫉妬ほど手に負えないものはない」と。和田くん、君のことだよ。肝に銘じなさい。スムージーにして飲みなさい。

 ■少年期だけ謎の梶裕貴起用
 中学生時代の若江役だけなぜか梶裕貴さんを起用している本作。なんでしょうね。片方だけ変える意味?健気な少年を演出するためでしょうか。トラウマにしたって性格変わりすぎな若江なのですが、声優を梶さんに変えることで余計その違和感が増すような気もします。素直で明るかった若江は、トラウマから30手前の大人になって攻めに転じるので、リバ地雷を避けたのでしょうかね。森川さんはスキルの高い役者さんなので中学生だっていけますよ!でもまあ梶くん、かわいかったからおじさん許しちゃう!

 ■天に唾を吐くとこうなるんだぞ!ドS帝王召喚!
 あるとき出張で岡山に来ていた若江が、偶然にも和田のバスに乗り合わせたが最後。もちのろんで復讐されるよね。天に唾吐くとはこのこと。そしてはじまる目くるめく帝王の言葉責め!

 鬼畜その1.お願いしますって言えよ。善人面して客に愛想振りまけるだから、俺に頭下げるくらい平気だろ
 鬼畜その2.頭悪くなったのか?和田。これは強姦なの。お前が無理かどうかは知ったこっちゃないの
 鬼畜その3.大声出すなよ、バレるぞ
 鬼畜その4.じゃあ、なか
 鬼畜その5.ほら、捨ててこい(コンドーム)
 鬼畜その6.ヘンタイ
 鬼畜その7.なに?聞こえない。叫びすぎて声枯らすなんてだっせえよ
 鬼畜その8.嫌なのに、やられて感じるなんて悔しいか?
 鬼畜その9.和田、一生俺のこと忘れないね。誰とやったっていくたび俺のこと思い出すんだ。ざまあみろ

 もう挙げたらきりがないくらい全体的にイイイイイ仕事してるんですよ帝王が!筆者が特にえぐられた台詞は鬼畜その5!うあ・・・・・・って引いちゃうほど強かった・・・・・・。そこで唐突に崎谷はるひ先生がおっしゃってた印象的な言葉を思い出しました。

 いくらスキルが高い役者でも、例えば鬼畜な役なら本人にその要素がないと突き詰めるという意味では真に迫る演技はできない

 演技に関していえば、それこそ正解などはないと思うのですが、少なからず本人が持ちうる要素が、表現に影響を与えることは十分に考えられます。役とリンクする部分を持っている人間とそうでない人間と、アウトプットされたものは絶対に違ってくる。そう考えて、この言葉がすとんと落ちてきたのを覚えています。で、なにが言いたいかというと、帝王ガチ鬼畜説。帝王ご本人にそういう要素があると思うと、また違った角度から萌えがありませんか。ありますよあるんですよ大漁に。

 いろんな攻めをそれこそ何百人と聴いてますけど、ここまで台詞に凄みの出ている攻めは聴いたことがない。それなり、の人が多数のなか、引くほどサディズムの滲み出る役者はそういない。こういうサディストの役をやらせたらちょっと右に出る者なしなんじゃないですかね。普段攻めに無頓着な筆者も、ぎゃふんと言わざるを得ませんでした。

 ■尻は食わせても演技は食わせない!両刀声優、遊佐浩二が斬る!
 で、ここまで帝王がぶをんぶをん大技を連発するなかで、尻は食わせても演技は食わせない義康!(清㵎寺の後遺症)もとい遊佐さん!もう作品全部食ってやろうくらい帝王の演技が唸ってますから、そのなかで存在感を出していける声優といったら限られてくるわけですよ。そこに来たのがミスター両刀、遊佐浩二!食わせませんでしたねえ。攻めの割合が多い遊佐さんが受けるからこその深みがまたよかった。

 怯える演技が光る
 バスのなかでまさにその最中、人がバスの近くにいると言われて拘束を外すよう頼むシーン。
 「若江!早く!早く外せよ!」
 少し声が裏返るところなど、客に見られるかもしれないという恐怖が伝わってくる緊迫感のある演技!

 痛そう
 ろくに慣らしもせず無理やり挿入されているわけですから、当然痛い。はじめて貫かれたときの声がリアル!に聴こえる!
 「ん゛っい゛で」
 体が全身で拒否して硬直している感じとか、呼吸がうまくできていない様子だとか、決して気持ちよくない行為なのだという状況が見事に表現されているシーンでした。

 痛い、から、気持ちいい
 若江に対する気持ちを自覚してからの行為は、苦痛しかない頃とは正反対。喘ぎ声全部に♡がついているように甘い響きを伴っています。
 「した」
 最初はあんなに痛がって拒否していたのに、アヌスでマスターベーションするまでに成長!羞恥心に悶えながらも告白する和田かわいいなお前!またコンドームをつけるシーンも必聴。それだけで♡な遊佐さんの演技に注目です。

 おまえに会いたくて
 筆者、攻めが受けを愛でたいがゆえに突飛な、または道理に反したことを言って受けが「バカ♡」って言うの大好きなんですよ(急に)このボーナストラックでも和田が言ってるのむちゃくちゃかわいい・・・・・・。さらにこのトラックのイチ推しはここ。

 「ほしかった・・・・・・」

 ふぁー!だよ!原作ではこれオーラルしながら言うんですね?カットされてるー!最後もフェイドアウトで物足りなさが残るんですが、トロトロな和田くんを遊佐さんががんばってくれたので、よしとする!

 ■作品の魅力を何倍も底上げする声優の力
 歯に衣着せぬ言い方をすると、原作自体はそれほど突き抜けているものはない印象でした。むしろ和田の心情については、理解できない部分が多くありました。強姦しておいて15年経過して大人になっても罪の意識がないだとか、好きだと自覚しているのに心中未遂を起こしたと思ったら、見舞いに来た若江にキスしたり、気持ちに一本の繋がりが見えないので、読んでいて首をかしげる部分が多かった。活字で鑑賞している分、登場人物の心情が明瞭になるせいでしょう。

 しかし最初原作を読まずにCDだけを聴いたときは、質のいいBLCDだな、という印象をもっていました。それはやはり音声化による、ひいては声優さんの演技がもたらす効果なのだと思います。森川さんと遊佐さんというスキルの高い声優さんと、完成度の高い作品を多く出すことで有名なAtis collectionさんの力が作品の魅力を何倍も底上げしている。そう強く感じた作品でした。

 ■末筆
 BLの攻めって「俺のものもお前のものも俺のもの(壁ドン!)」みたいなの多いじゃないですか。(そんな攻めいねえよ)こう言っちゃ悪いですけどフィクションなんでね、台詞が陳腐になることもありますよね。いやもうちょっとそこまで言ったら笑うわみたいなね?本作に出てくるキャラクターの台詞についても、王から外れない台詞が多く使われています。では、どこにぎゃふんと言わされたのか。帝王とゆってぃの豪腕という他にない。よく声優さんがキャラクターに声を当てることを、命を吹き込む、とか形容しますよね。その言葉の意味を真に理解させられたような気がしました。自分の頭のなか読んでいた台詞を、その活字としての印象や想像をはるかに上回るものを提示してくる作品でした。

 あとやたらバスの描写がリアルです。バス乗っている気分になれるBLCD。バスの運転手という属性への萌えは、そのまま電車の乗務員にもスライドできますよね。あのかちっとした制服が、その裏の痴態とのギャップを引き立たせるというかなんというか。だから制服脱がせたいって話だな!


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