1世帯にマスク2枚という5歳児レベルの政策に絶望しているので、代わりといっちゃなんですが、1世帯あたりBLCD2枚配ろう!
どうも、わぁわぁ言うとりますが清㵎寺シリーズも残すところラスト2枚!しかし1枚、また1枚と聴いていく楽しみと同時に、終わりに近づいていく寂しさもあり。このシリーズは発売を重ねるごとに完成度が上がっていくので、1年に1枚くらいのペースで続編を作ってほしいなあ。清㵎寺のエロエロボーイズは永遠に続くべき国宝ですよ。まだ音声化されていない作品もあるので、各レーベル様は前向きにご検討をお願いしたい!
そして本作の攻め役ではセクシーボイスの金字塔、諏訪部順一さんがイタリア人を熱演!対する清㵎寺は三男道貴役に誰もが一度は通る受け、福山潤さん!この二大巨頭でお送りする本作は、もうキャスト見ただけで即購入するタイプのCDですね。まあとにかく諏訪部さんの役の名前が長い!もとい台詞がロマンチスト!シェイクスピアに出てくるようなまどろっこしい台詞(褒めてます)を2時間ずっと言ってくれます。さあ、めくるめくイッツア諏訪部ワールドへ!
作品名:せつなさは夜の媚薬
[原 作]和泉桂 著
[レーベル]ムービック
[発売日]2007年 12月 21日
[メインキャスト]クラウディオ・コルシ・バルディ・アルフィエーリ(CV.諏訪部順一)×清澗寺道貴(CV.福山潤)
[設 定]イタリア紳士 × 伯爵家三男
[ジャンル]大正ラブロマンス
[エロ度]☆☆☆★★
[ラブシーン回数]4回
[ラブシーン分数]12分15秒
(1回戦,2:13 / 2回戦,3:57 / 3回戦,2:45 / 4回戦,3:20)
あらすじ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
清㵎寺家三男の道貴は礼拝堂で青い目の西洋人と出会う。その後夏休みに出かけた
神戸にある友人の実家で偶然その西洋人クラウディオと再会した道貴は優しく紳士的な
彼に惹かれていく。しかし大正12年に起きた関東大震災により消息がわからなくなる。
さらに震災から2年が経ち道貴は軽井沢でクラウディオと2度目の再会を果たすことに。
お互いの気持ちを確かめ合った二人だが、そうとは知らずに出た夜会でクラウディオを
見つけるが他人のふりをされて・・・・・・?
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■フルネームと同じくらいクドイ!クラウディオ・コルシ・バルディ・アルフィエーリ
長い長い長い!聴いてるときから覚えられる気が全くしないクラウディオのこのフルネーム長さ。和泉先生もよく考えつきますねこの長いフルネームが。ただこの長さがまた貴族の雰囲気を引き立てているのも確かです。
クラウディオはイタリア人なのですが、とにかくポエムのような甘くキザな台詞をずっと言ってます!こういうのストライクな方もいらっしゃいますかね!筆者は特に攻めには拘りがないもので、クラウディオのド甘い台詞も真顔で受け流していました。
キザその1.出会い編「手の甲にキス」
もうその片鱗は出会いからバッキバキに出してきてますクラウディオ様。聖書をもって追いかけてきた道貴の汗をハンカチで拭い、さらにとどめの手の甲キッス。こんなん誰だって好きになるわ!しかも声が諏訪部さんよ!?完全なる出来レースよ。
キザその2.二度目の再会編「お嬢さん」
トラック1で出会ってからなんとトラック5になるまで二人が絡むシーンが一切ないという焦らしプレイ。夏休み神戸にある友人の実家に遊びに来ていた道貴は、庭で社交ダンスの女性方ステップを踏んでいた。そこにクラウディオ様現る。おいおいタイミング良すぎんだろ、って当たり前だのクラッカー。(古)彼は道貴がここにいると分かっていて来ているからね!
うやうやしく跪いて道貴の手を取ると、
「再会を祝して私と踊っていただけませんか、美しいお嬢さん」
お嬢さん!もうね、クラウディオっていうか諏訪部さんクラスになると性別とか関係ないのよ。お嬢さんだと思えば男だろうがなんだろうがお嬢さん。ここのシーンは濃い台詞が盛りだくさんなので、いくつかご紹介。
「魔法でもかけられないかぎりは忘れないよ(道貴のことを)」
「星は夜空にばかりあるとばかり思っていたのに、君のせいで常識を訂正するはめになりそうだ」
「それなら次の約束をしないか。運命の女神に任せていては次にいつ会えるかわからない」
キザその3.和貴ナンパ編「星の次は月」
京都の庭園にいた和貴を見て、
「月よりも、あなたのほうが遥かに美しい」
ってあれ。そんなようなのさっき道貴にも言ってたよね?星の次は月で道貴の次は和貴ってか?罪な男だよ!
キザその4.三度目の再会編「薔薇と姫君」
いよいよ初夜を迎える二人。「はじめてなんです」とおぼこい三男に、
「とびきり優しくしよう。私の姫君が怯えたりしないように」
お嬢さんじゃなくなっちゃったよ!姫君!ミッチーでも乗り移ってんじゃねえかという王子様っぷり!
そしてベッドにはなんと薔薇が!おいおい偶然の再会ってことになってるんだからさすがの道貴だって受け流すほどアホじゃ・・・・・・った。なんのツッコミも入れないまま自分が突っ込まれちゃった☆オッケーグーグル!
キザその5.とにかく偶然出会うばかりのクラウディオ
これはもうキザなのかなんなのかわかりません。大きく括って道貴とクラウディオは8回接触があるのですが、そのうち7回が偶然会ったというパターンなのです。唯一約束して会ったのは別れ話をしたときだけ。
①出会い(教会)
②神戸
③列車
④軽井沢
⑤夜会
⑥教会
⑦別れ話
⑧清㵎寺家(復縁)
まあクラウディオ側は確信犯なのでそりゃそうなんですけどね。とにかく「偶然だね」が多いとか完全になにかあるに決まってますけど、純粋お坊ちゃんの道貴は見事にホイホイされちゃってます!
■道貴って本当に清㵎寺家・・・・・・?
冬貴→和貴→道貴と聴いてきて、前半二人がキチガイすぎたんでしょうね。道貴のパンピーぶりにぶったまげ。冬貴や和貴との落差をみると、多摩川の河川敷で拾ってきた子なのかなと疑うに足りるものがあります。
じゃない感その1.ノンケsmell
最初のトラックで女性に告白されるシーンがありました。道貴はこれを丁重にお断りするわけですが、その理由は自分が同性愛者だからではなく、まだ恋愛に対して無頓着だったからです。目の前で父親と情夫がおっぱじめるのを見させられても実に冷静です。
「清㵎寺に囚われるつもりはない。いつか恋におち、結婚し、新しい家庭を築くんだ」
この劣悪な環境にあってこの思考!すごいことだと思いませんか?和貴は容姿が父親に酷似していることが大きな要因となって、清㵎寺家に囚われ翻弄されていくわけですよね。道貴にしたって容姿が似ていないとしても、父親が人の性を食らって生きる淫魔みたいな人間で昼夜問わず情事に耽るわ、母親の他に父親でもなんでもない情夫の義康が家に出入りするわ、次男は夜会で男を食いものにして悪評が酷いわ、頼りにしてた長男は死亡するわ、外では清㵎寺を名乗るだけで白い目で見られるわ、三重苦どころでは済まされない多重に特殊な環境で、なにがしかの闇があってしかりなのでは?あそこまで冷静でいられるものでしょうかね。家に囚われ闇に闇を重ねたような和貴がまともに見えてきちゃいましたよ。
もしかすると道貴は清㵎寺であって清㵎寺でない、常にどこか傍観者でいることで清㵎寺の内にいながら外の感覚を持ち合わせるドライモンスターなのかもしれない。でなければこのクリーンなメンタルを保てるわけがない。末恐ろしい末っ子。
じゃない感その2.鈍感力
和貴と深沢の情事を深沢が意図的に見せるという陰険なやっかみを受ける道貴。ここでまさかの鈍感力を発揮。
「一人どうするつもりだったの!?」(夏休み一人家にいた和貴に対して)
>深沢とやっさいもっさいしてましたって言えよ和貴!
「苦しそうな声。泥棒?」
>なわけあるか!
「ひどい、助けなきゃ」
>好きでやってます。
「鞠ちゃんと婚約していながら二人は関係をもっていたんだ!」
>逆逆。関係をもつために鞠子を利用したのね。鞠ちゃんも了承済みで知らないのあなただけよ。
いかにもいやらしい和貴の声を聞いてもそれが情事によるものと判断できない道貴!お前の鈍感力ギネス級だな!この家に住んでいてその感覚を持ち合わせるのは難儀だぞ!そのあと深沢に呼び出されたときの会話なんかアンジャッシュのすれ違いコントみたいになってたもんね。
「この期に及んで鞠ちゃんを大切だなんて」
これは筆者の聴いた順番が悪かった!先に和貴カップルを聞いていたからアンジャッシュになっちゃったんだよこのシーン!
じゃない感その3.知らぬ存ぜぬオーガズム
清㵎寺にあって清㵎寺にあらず理論はいよいよ信憑性を帯びてきました。この子、オーガズム知りません。うっそーん!大学生の設定ですよ?マスターベーションもしたことないのか!おぼこいよ!おぼこすぎるよ道貴!
<初夜ダイジェスト>
「いくって?」
「こうやって締めるといいの?」
「昨日の僕、へんじゃなかったですか?」
道貴ちゃん優等生なので覚えが早いことを除いても、このおぼこさですよ。自分の行為が例外でなかったか聞くのも、ほどよい程度。和貴のように「僕変だったかな、変だったよね、変なんだ僕、生きててごめんなさい」みたいな陰鬱な感じがしない。あくまで客観的に世間からの印象を認めたうえで、その印象に当てはまるずれた行為が自分になかったか確認しただけ。やはり道貴は清㵎寺のなかにある唯一のスタンダード。
じゃない感その4.圧倒的清廉さ
淫魔のような父親やこじらせ淫乱兄貴を持っていても、とりたてて嫌悪していない様子をみると、道貴は極端な潔癖症でもない。汚染水のような家にいるのに、サイコパス的にいえば色相が曇らない。清㵎寺のなかにいても一人だけ清廉さを保ち続けている。
「だったら兄さんには未来はないの?もうこの家から逃げる気はないの?」
人は過去に縛られる、などともろに自分のことであろう台詞を、地獄の釜の底から吐き出すみたいに言う和貴に対して返した台詞。正論すぎてなんも言えねえ。間違えない男、清㵎寺道貴。
清㵎寺一、清㵎寺らしくないのが道貴なんですね。結局同性と結ばれたこと以外は。
■和貴すき間産業が食っちゃってる感ゴイゴイスー
本作では和貴の出番が結構あるのですが、なんと濡れ場まであるんですよ。しかもメインカップルがねんごろになる前に、メインカップルより湿度高めの濡れ場を見せつけるという事態が発生。「おいしい」まで先にもっていく始末!これはいただけない!(スタッフ全員でおいしくいただきました)
■はじめての「おいしい」は無理強い
清㵎寺お家芸の「おいしい」を道貴はどういう場面で遣うのかと思ったら、ここでも清㵎寺にあらずを発揮!
クラウディオと関係をもっていることで清㵎寺家が危ぶまれる可能性があると知った道貴は責任を感じ、家のために友人の妹と見合いする決心をします。気持ちとは裏腹に「信じられない」と突っぱねる道貴に腹を立てたクラウディオは、強引に押し倒し、オーラルを強要。
「おいしい(泣)」
これはこれで悪くないのです。(おい)欲をいえばやはりラブラブタイムのときに聴きたかったですね。しかも原作はちょっと描写が違います。本作では泣きながら無理強いされている感が強いですが、原作では惨めでも快楽を与えられることが嬉しいというモノローグが続いているので、もっと恍惚な雰囲気で言っている様子が伺えます。ここは原作とおりに習った方が萌えましたね。
しかしどうだと聞かれて呼吸をするように「おいしい」という台詞が出てくるあたり、やっと清㵎寺らしさが出たなというところでしょうか。
■作品の”穴”に”突っ込み”
<2枚組で総濡れ場時間10分は餓死します>
あっさり醤油味じゃ満足しないんだよ清㵎寺ファンは!もうこれは記録的な短時間。2枚組で10分しかメインカップルの濡れ場ないんですよ?こちとら餓死ですよ餓死!濡れ場を重要視する筆者のようなファンは飢餓状態。和貴メインカップルの前作にあたる「夜ごと蜜は滴りて」でも原作の肝心な部分がカットされていることを指摘しましたが、本作でもその課題は改善されていませんでした。清㵎寺家シリーズの名台詞でもある「おいしい」に関しても最後の濡れ場ではカット!原作では指を口に含んで発するシーンがあります。ファンとしてこのカットは痛い。
<和貴の影が悪目立ち>
コルシ・バルディ家との因縁で揺れ動くクラウディオと道貴の間に和貴が話に入り込むことで、メインカップルが薄くなってしまった印象。前作でメインのカップルがここまで顔出してくると準カップルになってしまう。せっかく道貴メインなのだから、これまで光の当たることが少なかった道貴の苦悩の部分であるとか、清㵎寺をどういう風に見ていたかとか、キャラクターを深く掘り下げた部分を聴きたかったですね。
<メインカップルのシーンが少ない>
偶然にしか会えないクラウディオなので、会える時間が少ない(笑)もっというとラブラブなシーンが短いので、連動するように濡れ場も少なくなるという悪循環。鑑賞後飢餓感を覚えるのはこれが原因の一つだと思われる。
<道貴が鉄壁すぎる>
某シンジのようにダメ人間すぎて見ていてイライラするタイプもありますが、健全すぎて共感できないタイプのキャラクターもいますよね。道貴は後者です。冬貴や和貴や義康もそうですけど、どこか大きな闇がある。自分ではどうしようもない歪な部分です。道貴の場合は清㵎寺に対して傍観者になることで、家を守ることから責任逃れしていたことがネガティブ要素として描かれていますが、すぐに自分の恋愛を捨てて家のために身を投じようとしています。良い子。そう、良い子なんです。でもそれだけなんですよね。あれだけ特殊な家にいてあんなに清廉なわけがないんですよ。そこにリアリティがないというか、人間味に欠けるところが出てくる。
他の家族が病んでますから、末っ子の三男は伸び伸び健全な子にするというキャラクターの変化をつけたいのもわかります。しかしただの良い子より、健全そうに見えて裏に爆弾を抱えている方がキャラクターとしても生きてくるし、なにより清㵎寺らしさなのではないかと筆者は思います。
■福山潤さんについて
かわいい!小綺麗!清廉な道貴の役にぴったりなキャスティングでしたね。冬貴、和貴と綺麗目なお声の声優さんでしたから、末っ子の道貴の声を聴くと癒されますね。
濡れ場に関しても、アフレコが激しいとお噂のとおり思いっきり息んでくださってます!少し鼻声のかすれた声で「いいの?」なんて聞かれた日にゃギュンギュンですよ
せっかく腕利きの福山さんをキャスティングできたのですから、あの濡れ場の短さは非常にもったいないことをしましたねえ。今からリパッケージ······いけます?
■諏訪部順一さんについて
イタリア人でしたねえ。変に外国人っぽさを出すような演出をしていなかったのがよかったと思います。台詞はずっとポエムなので、諏訪部さんの声で2時間聴き放題。他のレビューでも書かれていますが、嫌味がないですよね。やってる感がないというのか、オーガニックプリンス。
ただ濡れ場においては全部スマートすぎて、いやらしさが足りないなと個人的な感想をもちました。もっと汗かいて必死に腰振ってる感じの息遣いが感じられてもよかったですね!
■末筆
作品が古くなるほど辛口になるのは悪しからず。前にも書きましたがシリーズ重ねるごとに完成度が向上しているので、今聴くともったいないなと感じる部分がたくさんありますね。だからあえて今リパッケージしようぜ!そんで双子編、婚外子編も発売しようぜ!それでどれだけの人の明日の希望になることか!
それにしても道貴の色相の曇らなさは逆にサイコパスなのでは?と疑うほど。あんな潜在犯ばっかの家で。原作のどこにも書いていないけれど、道貴はなにかものすごい秘密を隠していると勝手に妄想しています。(主に性的な面で)実は深沢以上の策士で性格最悪な設定でも面白いな。飲酒、喫煙、博打、ハッテン場通い、冬貴や和貴や国貴のように誰かを本気で好きになる気持ちがわからない。ハッテン場で危険なプレイに巻き込まれそうになったところをクラウディオが助けるという最悪な出会い方をする、的なね。(健全な道貴ファンの皆様に陳謝します)
ということで残すところラスト1枚になりました!清㵎寺シリーズ記念すべき最初のCD!今から15年前、全てはここからはじまったのかと思うと感慨深い。
次回、ここが清㵎寺のはじまりだ!ベテラン声優、 置鮎龍太郎×千葉進歩に耳を打て!和泉桂原作!「この罪深き夜に」レビュー